お米・野菜が高い論争

家にテレビがない。

なのでSNSで起きている論争を遠くから眺めている。

190円だった長ネギが290円になっている!
う、、どうしよう。と、私自身スーパーで買うのを躊躇した。

たかが100円。しかし、1.5倍というのはなかなかのインパクトである。

お米の末端価格はどうなっているのだろう。スーパーで買うことはもはやなくなったのでわからない。

農協の農家からの買取価格がざっくり30Kg 7,000円から9,000円超には上がっているが、収量不足で米自体が取り合いになっており、民間の問屋さんの方が10,000円以上で買い取るため、農協にお米が集まらなくなり農協が困っている。

少ないものが取り合いになれば価格が上がる。市場の原理だ。

論争に出てくる意見を見てみると、

①「農家さんが儲かってればいいです。応援します!」
けっこう多い。農家からしたらありがとう、というコメント。
しかし、儲かっているかというとそういう訳でもない。
値段が上がったのは収量が減ったことが大きな要因。昨年は猛暑で米が不作となり、今年は9月の長雨で田んぼの水が引かず、稲が倒伏しダメになったものも多い。
100取れていたものが70になったけど、値段が上がってくれたおかげで生きながらえた。このくらいのことだと思って欲しい。労力、時間、経費は100の分かかっている。

あともう一つだけ言わせていただくと。。
3世代前は、100人のうち50人が農林水産業に従事していた。
現在は、100人のうち3人しか従事していない。農業だけに限れば1人程度。
一番の応援は、現場に来ること。一次産業に携わること。でないと守れない。
一緒にやろ〜!

②「間で中抜きしてるんでしょ」
上で書いた通り、多分誰も儲かっている訳ではないと思ってる。
お米自体が少ないため、農協も問屋も扱える量は減っている。
みんなの給料という支出は変わらない訳で、今まで100仕入れられていたものが70になればその分値段を上げなければ払えない。売れるものが少なくなったからといって仕事が減る訳でもなく、色々な対策等もしなければならなくなっているだろう。

③「農協を通すからだめなんだ」
私は農協にお米を出していないが、農協はただ農産物を仕入れて売っているだけではない。
米、野菜、果樹など地域の幅広い農業の実態を把握し、日々農家のお悩み相談を受け、定期的に勉強会を実施し、地域の振興イベントに協力し、後継ぎを斡旋するなどの草の根的活動をしているし、
大きな設備を有しており、農家は1t袋ででも納品できる。そして作った分買い取ってくれる。これがでかい。
個人で販売するとなると、30Kgの袋に分ける、10Kg、5Kgに分ける。この袋詰め作業に結構時間がかかるし、資材代も高い。一度には売れないから、保管する場所を作らないといけない。売るための活動、顧客対応、発送作業。売れ残るというリスクも大きい。
例え農協に売るより個人で1.3倍で売れたとしてもやる意味はない。2倍、3倍で売らねばならない。

とはいえ農協もこのままでは立ち回りに窮してくるのではと思う。内部のことまではわからないので、農協の優秀な方々に頑張って欲しいと思う。

④「輸入米は安いんだから日本の農家も安くできんじゃね?」
これについては「安い」背景を考えなければならない。
一番は大量生産できる仕組みだろう。大規模な農地に巨大な農機具。広範囲に農薬が撒かれる。人の手ではなく、機械としか触れることのない農作物。まるで工業製品のように。その道を進めば、日本から里山の風景は消える。
食べ物は人の体をつくるもの。真心のこもった作物を食べるか、工場的に作られたものを食べるか。違いはある気がしている。「安いほどいい」というものではない。

結局、買い物は投票である。
お米の1人あたりの年間消費量は50Kg程度。
1Kg300円から500円に上がったとして、年間の増える出費は1万円。月1,000円以下。
その1,000円を何に使うかだけ。

なぜ人に最も必要な「食」を作りだす農業が持続性を失っているのか。
その疑問と対峙するために5年前に地方に移住し、農業をしようと決めた。
これからの数年が日本の食の正念場になりそう。

疲れたので以上!

一社)ミライサト 伊藤

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